スカイマークのA380発注(2011年)を、判断の時点に戻って6段階の手順で設計し直した試算。数字を押すと根拠が開く ›
2010年の基本合意から2022年の再上場まで。出来事を押すと出所が開く ›
457億円が集中する計画だった段階1 逆算。推進側の前提(A380の搭乗率70%、83円、本業が年130億円を稼ぐ)では成り立つ。線までの距離を見る。スライダーを動かすと再計算 ›
▲8.8ポイント(史実は▲10.1)/為替95円(直前5年の幅は80〜124円)65.6%を下回ると計画の価値はマイナス。納入時に借りられなければ、他が基準どおりでも破綻段階2 モンテカルロ1万回(相関あり)。判断時点の不確実性に幅を持たせ、二つの見立てで五つの形を回した。見立てと指標を切り替える ›
形で変わるのは、どちらの見立てでも会社が残るかどうか段階3 確率を外した一本。為替79→83→100→110→120円、737の搭乗率▲3→▲11→▲12→▲13ポイント、納入時に借りられない。形を切り替えると差が残る ›
24億円は、2015年1月の民事再生の申し立て後の残高。届け出られた請求は3,089億円(申し立て時の負債711億円+帳簿に載っていなかった違約金・将来のリース料 約2,380億円)。確定1,543億円、弁済161億円段階4 構造案の比較。打ち手を順に足すと、許容の線に対する不足が埋まるか残るかが見える。オン・オフで確かめる ›
A380が原因の破綻は10%まで段階5。全路線の搭乗率の前年差(会社が毎月公表)に、「▲8ポイント以下が3か月連続」という線を当てた。順に組み上がる ›
| 発動点 | 閾値 | 史実に当てると |
|---|---|---|
| T0 契約前 | 資金の確約なし/為替の手当てなし/解約の上限なし | 2011年2月に三つとも該当。確定発注しない |
| T1 搭乗率 | 前年差▲8ポイント以下が3か月連続 | 2012年7月上旬。新たな解約不能契約を止める |
| T2 予想 | 通期予想の下方修正が2回 | 2013年1月30日。オプションの判断を凍結 |
| T3 資金 | 本業の営業CF| 2013年5月9日(11億円<45億円) | |
| ゲート | 2013年3月末に搭乗率▲8以上か営業CF50億未満 | 両方該当。確定2機を解約し737に戻る |
24%が、2013年3月のゲートで14%、支払いの前にもう一度判定すると10%。A380を買わなくても7%は破綻する同じAIが自分の設計を叩くと同じ穴に落ちる。別のAI(ChatGPT)を証人として呼び、指摘をモデルで検算した。指摘を押すと検算が開く ›
| 変えた条件 | 破綻 | 180億超 |
|---|---|---|
| 案C(全部通る) | 14% | 0% |
| 上限条項が通らない | 15% | 0.1% |
| 4機確定(2011年2月の契約) | 24% | 41% |
| 鳴っても戻らない | 24% | 0% |
2011年の時点で、経営トップと取締役会に出す1枚。分析の結論を、意思決定権者への提案の言葉に直した(たたき台)。
| 結論 | 長距離国際線への挑戦には賛成します。理想として6機を持ちたいのは理解できます。ただ、まずは2機から始めてください。 |
|---|---|
| 理由 | 計画の数字を信じても、6機一括のこの形では4回に1回、会社が残りません(27%)。2機から始めれば5%、慎重に見ても14%です。 |
| 計画が正しければ6機そろう | 残り4機は、条件を満たせば買える権利にします(判断は初号機の運航1年後)。計画どおりに近い未来なら、7割で4機を買い足して6機がそろいます。間違っていたときだけ、2機で止まって会社が残ります。 |
| 交渉の順番 | ①2機確定と解約の負担の上限 → ②上限が取れなければ2機確定とゲート(慎重な見立てで破綻15%) → ③確定4機以上には進まない(損失が180億円を超える確率41%)。為替の固定と納入時の融資の確約は、どの段でも取ります。 |
| 戻るのはルール | 2013年3月に、搭乗率と本業の稼ぎで続けるか戻るかを判定します。基準と判定する人(新しく置く社外取締役)は、契約の前に取締役会で決めて記録します。戻るときに失うのは前払金35億円です(史実では253億円が戻らなかった)。 |
| 代償 | 計画どおりに進んだ場合の価値は、496億円から334億円に減ります。 |
この分析でどこまでがAIで、どこからが人だったか。列を押すと、その列だけが浮かぶ ›
| 段階 | AIがやったこと | ヒトが決めたこと(今回) | 分析の後にヒトが決めること |
|---|---|---|---|
| 0 設定 | ── | 目的、許容損失180億、戻れない額の上限150億、踏まない領域三つ、止める人(社外取締役)。A380が原因の破綻10%までは分析の途中で足した線 | この枠を次の大型投資の審査に使うか |
| 1 逆算 | 破綻する境界(搭乗率▲8.8、為替95円)と計画の価値の計算 | その境界が過去の実績の範囲にあるかの判定。運航費・運賃・為替の転嫁率の置き方 | 「計画どおりならプラスだが会社を賭けている」という判定を受け入れるか |
| 2 分布 | 1万回の試行、支配変数の抽出 | 幅と相関の値(分析者が仮置きし、記録) | 仮置きを承認するか置き換えるか。無異論も記録する |
| 3 ストレス | 史実と同じ経路での各案の帰結 | どの一本を置くか | どの兆候を見張るか |
| 4 構造 | 五つの案の破綻確率と損失の計算 | 案Cを採り、他を捨てる(本来は判断者が決める) | 計画の価値を162億円減らしても2機で始めるか。メーカーが条件を受けなければやらないと決められるか。長距離国際線という柱に、平均の不足(分析者の見立てで案C 54億円)以上の価値を認めるか |
| 5 発動点 | 公表値への当てはめ、誤報と見逃しの計算 | 閾値(▲8ポイント)、ゲートの時期、発動者 | 鳴ったら前払金を捨てて実際に戻るか。戻らなかった判断も記録するか |
| 証人 | 別のAIが指摘5点。検算はモデルで実施 | 証人を呼ぶと決めたこと。指摘の採否と判定のやり直し | 交渉の実務を知る人に、2機確定と解約の上限が通るかを確かめる |
2011年、スカイマークはエアバスの超大型機A380を6機発注し、4年後に民事再生を申し立てました。この資料は、その発注を題材に、もし判断の時点に戻れたら、どのような形で投資を組めばよかったのかを考えたものです。後から分かったことではなく、2011年の時点で公開されていた情報だけを使っています。
計画どおりに進めば儲かる投資でも、負けたときに会社が残らない形で約束してしまうことがあります。大きく、戻れない投資の前に何を決めておけばよいのか。その手順を実際の事例に当てはめて試しました。
自分が同じ立場に置かれたらどう組むかを、一緒に考える材料になればと思います。右下の「▶ 音声」で解説が流れ、数字を押すと根拠が開きます。
鷲巣大輔(2026年9月30日公開)
| 項目 | 値 | 確度 |
|---|---|---|
| 契約 | 2011年2月に4機確定+2機オプション。6月23日に2機も確定 | 公式(有報) |
| 発注総額 | 約18.8億ドル。1,559億円(83円)→1,916億円(102円) | 公式/推計 |
| 支出の予定 | 2012/3期61億、13/3期44億、14/3期82億、15/3期457億、以降239億、241億、419億円 | 公式 |
| 判断時点の体力 | 営業利益112億円、現金164億円、増資183億円(2011年6月) | 公式 |
| 支払済みの前払金 | 253億円(2014年6月末)。返還の形跡なし | 公式 |
| 為替と統治 | 為替予約なし。取締役4名、社外取締役ゼロ。議決権の約半分を一人の株主が持つ(契約時) | 公式 |
円建ての総額が増えたのは為替の前提が変わったためで、ドル建てではほぼ一定である。報道の「前払金265億円」は、シミュレーター前払いなどを含む建設仮勘定全体(264億円)と混同した可能性が高い。
資金調達は毎年の有価証券報告書に「リースバック等も検討」と書かれたままで、2014年3月末まで借入金はゼロだった。
| 形 | 史実と同じ経路での結末 | 戻らない額 |
|---|---|---|
| A 史実(6機確定) | 2015年3月期に破綻 | 432億円 |
| B 2機確定+4オプション | 2015年3月期に破綻 | 144億円 |
| B2 B+為替固定+資金確約 | 2016年3月期に破綻 | 146億円 |
| C B2+解約の上限+ゲート | 解約して737に戻り存続。現金309億円 | 35億円 |
35億円は有価証券報告書の支出予定(2機分、2年間)から計算した値。実際の支払いペースは予定より速く、2013年3月末の累計は6機で146億円だったので、2機なら約49億円になる。
解約の上限条項が通らない場合は、請求の一部を負担して93億円(証人喚問後の検算)。
| 構造 | スカイマーク | 負担が軽かった例 |
|---|---|---|
| 全機を短期間で確定 | 契約から4か月でオプションも確定 | Virgin Atlanticは6機確定+6オプションで入り、納期を延ばした末に取消し |
| 前払金が返らない | 累計253億円。純資産の59%が建設仮勘定(2014年3月末) | 手付を別機種の発注へ振り替えた大手(Virgin、Air France) |
| 支払いが1年に集中 | 4年目に457億円。同期の営業CFは▲101億円 | 前払金を融資枠で賄い、納入時に返済する形 |
| 為替の手当てなし | ドル建て費用が売上の約半分。1円で4.9億円 | 大手は円建て調達と先物予約を併用 |
| 二つ目の解約不能契約 | A330リース10機。未経過リース料1,217億円 | 飛行時間に比例するリース料で運航する会社 |
| 「戻る」条件が数字でない | 戻る条件を数字で書いた記録は、公開資料では確認できない | 比較事例でも、取締役会が止めた例は未確認 |
| 条件 | 計画の価値 | 最低の現金 | 破綻 |
|---|---|---|---|
| 基準(A380搭乗率70%、83円) | +496 | 304 | なし |
| A380の搭乗率 60% | −634 | 71 | なし |
| A380の搭乗率 50% | −703 | −29 | 2017年3月期 |
| 為替 100円 | −562 | −33 | 2017年3月期 |
| 為替 120円 | −483 | −119 | 2015年3月期 |
| 737の搭乗率 ▲10ポイント | −390 | −15 | 2016年3月期 |
| 納入時に借りられない | −787 | −61 | 2018年3月期 |
| ▲10ポイント+100円+借入不能 | −593 | −418 | 2015年3月期 |
A380路線の損益分岐の搭乗率(機材費込み)は、83円で63%、100円で69%、120円で75%。
| 入力 | 値 | 出所 |
|---|---|---|
| 手元現金 | 347億円(164億+増資183億) | 公式 |
| 本業の営業CF | 年130億円(2011年3月期は148億円) | 人の仮定 |
| A380の収入 | 394席、1往復の満席収入1.07億円、年300往復 | 報道の運賃から計算 |
| 運航費 | 1往復72万ドル | 二次情報からの推計 |
| 納入時の借入 | 支払いの5割(前年の本業が黒字の場合) | 当時の報道 |
| 為替の運賃転嫁 | 円安の5割 | 人の仮定 |
| 解約時の請求の実負担 | 請求の3割 | 人の仮定(破綻前の和解に関する報道は未確認) |
読み方の注意
| 形 | 破綻 | 損失 P95 | 180億超 | 価値 P50 | 価値 P95 |
|---|---|---|---|---|---|
| A 史実 | 58% | 464 | 58% | −429 | +1,383 |
| B 2機+4オプション | 29% | 160 | 1% | −260 | +969 |
| B2 +為替固定+資金確約 | 24% | 151 | 0.2% | −209 | +895 |
| C +解約の上限+ゲート | 14% | 62 | 0% | −31 | +841 |
| D 6機のまま手当て | 45% | 437 | 45% | −313 | +1,336 |
案Cでは28%がゲートで解約、20%がオプションを行使する。オプションの行使条件は、行使するのは、2割円安でも路線が損益分岐を超え、本業の営業CFが50億円以上あり、行使後2年分の支払いを現金と確約済みの借入で払えるときだけ。相関を外しても史実の形の破綻は58%で変わらない。
| 入力 | 幅 | 根拠 |
|---|---|---|
| 737の搭乗率の低下 | 三角 −2〜+12ポイント、最頻3 | LCC3社の参入が2011年に公表済み |
| A380の搭乗率 | 三角 45〜80%、最頻65 | 業界誌の要約60%、推進側は非公開 |
| 本業の営業CF | 三角 90〜150億円 | 直近2期は148億、96億 |
| 運賃の実現率 | 三角 80〜105% | 「大手の半額」が通るか |
| 運航費 | 三角 60〜84万ドル/往復 | 飛行時間あたり2.5〜3.5万ドル |
| 為替 | 年率10%の変動 | 契約後4年の実績は77〜119円 |
| 相関 | 国内が弱いと国際線も弱い(−0.3) | 人の仮定 |
各変数の平均を推進側の計画の値に置き、幅だけを持たせた。737の搭乗率の低下は三角 −4.5〜+4.5ポイント(平均0)、A380の搭乗率は三角 57.5〜82.5%(平均70%)、本業の営業CFは三角 110〜150億円(平均130億)、運賃の実現率は三角 95〜105%(平均100%)。為替の変動と相関は分析者の見立てと同じ。
| 形 | 破綻 | A380が原因 | 180億超 | 価値 平均 | 価値 P50 | 価値 P95 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A 史実 | 27% | 25% | 27% | +546 | +562 | +2,105 |
| B 2機+4オプション | 10% | 8% | 1% | +353 | +185 | +1,516 |
| B2 +為替固定+資金確約 | 6% | 4% | 0.4% | +384 | +276 | +1,424 |
| C +解約の上限+ゲート | 5% | 3% | 0% | +382 | +251 | +1,421 |
| D 6機のまま手当て | 13% | 11% | 13% | +648 | +671 | +2,028 |
A380を買わない場合の破綻は2%。推進側の計画そのもの(1通り)は史実の形で+496億円だが、幅を持たせた平均は+546億円とむしろ高い。分析者の見立てとの差を一つずつ動かすと、平均を下げているのはA380の搭乗率(+546→+56億円)と運賃(+48→−116億円)でほぼ全部。
| 兆候 | 観測値 | 公表 |
|---|---|---|
| 全路線の搭乗率の前年差 | 2012年4月▲9.4、5月▲14.8、6月▲15.3ポイント | 2012年5〜7月 |
| 新しい路線の搭乗率 | 成田発の路線が33〜45% | 2012年7月 |
| 四半期の営業利益 | 0.56億円(前年20.1億円) | 2012-07-31 |
| 通期予想の下方修正 | 158→113→49億円。翌年も2回 | 2012-10-30、2013-01-30 |
| 為替 | 契約時から10%超の円安(89円) | 2013年1月 |
本業の営業CF| 11億円<45億円 | 2013-05-09 | |
| 座席キロあたり収入<費用 | 8.39円<8.74円 | 2014-05-15 |
| 継続企業の注記 | 第1四半期決算で初出 | 2014-07-31 |
搭乗率の低下は、ドル円が78〜84円で動いていない時期に始まっている。2015年3月期の営業損失176億円のうち、為替で説明できるのは3割弱(推計)。
| 案 | 確定債務 | 納入前の前払金 | 破綻(うちA380が原因) | 判定 | 理由 |
|---|---|---|---|---|---|
| A 史実 | 1,559 | 187 | 58%(50%) | 捨てる | 三本の線をすべて超える |
| B 2機+4オプション | 520 | 62 | 29%(22%) | 捨てる | 損失の二本の線は内側だが、A380が原因の破綻が許容10%を超える。為替と資金の穴が残る |
| B2 +為替固定+資金確約 | 520 | 62 | 24%(17%) | 捨てる | A380が原因の破綻が許容を超える。抜ける費用に上限がなく、戻る判定がない |
| C +解約の上限+ゲート | 520 | 62 | 14%(9%) | 採る | 三本の線の内側。損失は62億円以内 |
| D 6機のまま手当て | 1,559 | 187 | 45%(38%) | 捨てる | 機数が大きすぎる |
| E 別の機材で小さく試す | ── | ── | 未計算 | 保留 | 双発機で小さく試す選択肢は、長距離運航の認可の要件から当時は取りにくかった可能性がある(未確認)。人が確かめる |
オプションは行使の条件まで設計して初めて効く。行使はそれ自体が新しい戻れない約束なので、行使するのは、2割円安でも路線が損益分岐を超え、本業の営業CFが50億円以上あり、行使後2年分の支払いを現金と確約済みの借入で払えるときだけ。今の調子だけで行使する緩い条件では、案Bの破綻は39%になり、2機だけの場合(29%)より悪くなる。
三本目の線「A380が原因の破綻は10%まで」は、段階0では置いていなかった。損失の額(A380に払って戻らないお金)だけで判定すると、案Bが合格に見えてしまう。破綻すれば本業の価値も株主の持分も失われるが、その分が損失の額に入らないためである。「737の本業の手元資金には手を付けない」という段階0の約束を数字にしたのがこの線で、結果を見た後に置いたことを記録しておく。A380を買わなくても7%は破綻するので、線は会社全体の破綻ではなく、A380が原因の分に引く。2014年3月のゲートを足した案Cでは5%になる。
反対意見:「2機では路線網にならず、整備と乗員の固定費を回収できない」「メーカーは新規の小さな会社に解約の上限を与えない」。受けなければ「この形ではやらない」が手順の答えになる。
| 形(案Cの構造は共通) | 破綻 | 鳴ったが上振れを捨てた | 鳴らずに破綻 |
|---|---|---|---|
| ゲートなし | 24% | 0% | 24% |
| ① 2013年3月のゲート(本文) | 14% | 5% | 10% |
| ② 2014年3月のゲート(457億円の支払いの前) | 13% | 3% | 7% |
| ①+② | 10% | 6% | 5% |
| 参考:A380を買わない | 7% | ── | ── |
割合はすべて1万回全体に対するもの。②の判定は、為替95円以上、本業の営業CF50億円未満、現金200億円未満のどれか。
閾値を▲6、▲10ポイントに動かしても、①の破綻は12〜15%で、結果は閾値に敏感ではない。▲8は震災後の最大の落ち込み(▲6.7)を超える水準として、事前に置ける。
証人の判定:致命。こちらの判定:重要。結論は倒れないが、強さが下がる。
| 条件 | 破綻 | 180億超 | 史実の経路の損失 |
|---|---|---|---|
| 案C(全部通る) | 14% | 0% | 35億円 |
| 解約の上限が通らない | 15% | 0.1% | 93億円 |
| 4機確定(実際の2月契約)+上限なし | 24% | 41% | 186億円 |
オプション付きの発注には実例がある(本件の契約自体が4機確定+2機オプション、Virgin Atlanticは6+6)。2機確定の実例は調査では確認できていない。解約の上限は業界標準ではなく、前払金の没収と損害賠償が標準である。
分かったこと:効いているのは機数とゲートで、上限条項は悪い側の尾を切る役目。次に人がやること:交渉の実務を知る人に確かめる。
証人の判定:致命。こちらの判定:本資料で既に限界として挙げていた点。数字を足した。
| 鳴ったときに戻る割合 | 破綻の確率 |
|---|---|
| 必ず戻る | 14% |
| 半分だけ戻る | 19% |
| 戻らない | 24% |
損失の上限(62億円)は、上限条項があれば戻らなくても変わらない。戻るかどうかは統治の問題で、モデルは答えを出さない。社外取締役に発動権を持たせる、という段階0の設定が効くかどうかは人の側にある。
判定:化粧。閉じた。
| 737に戻った後の搭乗率の低下 | 破綻の確率 |
|---|---|
| 3ポイント(再建後の実績から) | 14% |
| 6ポイント | 15% |
| 9ポイント | 16% |
史実の経路で戻りを6ポイントに弱めても、会社は存続する(期末の現金117億円)。ただし再建後の実績(営業利益67億円)から置いた仮定であることは変わらない。
判定:化粧。閉じた。
| 変えた条件 | 破綻の確率 |
|---|---|
| 案C(費用なし) | 14% |
| 借入額の10%の手数料・保険料 | 14% |
| 借入の確約が5割まで | 15% |
| 為替を固定できない | 14% |
手数料の水準(10%)は置いた値で、当時の実際の条件は確認していない。
判定:化粧。閉じた。
| 閾値 | 発動 | 破綻 | 誤報 |
|---|---|---|---|
| ▲6ポイント | 39% | 12% | 20% |
| ▲8ポイント(採用) | 28% | 14% | 17% |
| ▲10ポイント | 23% | 15% | 14% |
誤報は「鳴ったが、続けていれば計画がプラスだった」割合。▲8は、2011年度(震災の年)の最大の落ち込み▲6.7を超える水準として、史実を見る前に置ける。
| 変えた条件 | 破綻 | 損失 P95 | 180億超 |
|---|---|---|---|
| 案C(全部通る) | 13.8% | 62 | 0% |
| 解約の上限が通らない | 14.6% | 143 | 0.1% |
| 4機確定+2オプション、上限なし | 23.6% | 284 | 40.9% |
| 借入の手数料・保険料10% | 14.4% | 62 | 0% |
| 借入の確約が5割まで | 15.2% | 62 | 0% |
| 為替を固定できない | 14.4% | 67 | 0% |
| 戻っても搭乗率が6ポイント低い | 15.2% | 62 | 0% |
| 鳴っても半分しか戻らない | 19.2% | 62 | 0% |
| 鳴っても戻らない | 24.1% | 62 | 0% |
証人が弱点を見つけなかった点:基準ケースの計画の価値がプラスであること。6機一括が会社を賭ける形であること。機数の段階化が最も効くこと。
証人は票を持たない。採用したのは、こちらがモデルと調査ノートで検算できた指摘だけである。
| 仮定 | 置いた値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 737本業の営業キャッシュフロー | 年130億円(幅90〜150億円) | 2011年3月期148億円、2012年3月期96億円 |
| A380の搭乗率 | 70%(幅45〜80%) | 会社の想定は非公開。業界誌の要約は60% |
| A380の運航費 | 1往復72万ドル | 二次情報からの推計 |
| A380の運賃 | 上級席往復39万円、プレミアムエコノミー22.5万円 | 当時の報道 |
| 為替の運賃転嫁 | 円安の5割 | 人の仮定 |
| 搭乗率と為替の感応度 | 搭乗率1ポイント=8億円、1円=3.3億円 | 当時の開示から推計 |
| 解約時の請求の実負担 | 3割 | 人の仮定 |
| 737に戻った後の搭乗率の低下 | 3ポイント | 再建後の実績から。弱めた場合も検算済み |
| 割引率・相関 | 8%・−0.3 | 人の仮定 |
これらは分析者が仮に置いた値で、判断する側の承認を前提とする。承認した場合も、異論なく通したことを記録する。